kintone×KOYOMIでパート・アルバイトのシフト管理を実現
kintoneを用いて社内の業務効率化を進めている弊社のお客様では、さらにkintoneを他の業務で使えないかを模索していました。そこで、アルバイト・パートのシフト管理をkintoneで行ってみてはどうかということでご提案し、現在活用されています。
シフト管理へのkintoneの適用検討
通常のkintoneの一覧表示でシフト管理するのにはやりづらいため、人員や時間の調整をするにあたっては
- 見た目がよいこと(情報把握しやすいこと)
- 操作性がよいこと(簡単に操作できること)
の2つが求められていました。
このお客様では、従業員各個人のスケジュール管理用にKOYOMIというスケジュール管理プラグインを既に導入されていましたので、これを用いてシフト管理用アプリを作成することとしました。
個人のスケジュールを週表示でKOYOMIで表示させた場合、次のように表示できます。
KOYOMIでは上記のような個人別のスケジュール表示の他に、縦軸に人・横軸に日付または時刻で表示させることが可能な「グループ週」表示と「グループ日」表示という2つの表示形式を選べるため、シフト調整にはこの表示形式が使えそうだという判断となりました。
グループ週表示の例
また、パート・アルバイトの方々はkintoneアカウントを持っていないのですが、KOYOMIではkintoneアカウントが無くても人の情報を追加することができるため、そこも採用ポイントの1つとなりました。
kintone×KOYOMIによるシフト管理の運用
基本的にパート・アルバイトの方はkintoneを操作しませんので、店長が先々のシフトを調整してKOYOMI上で予定を作成し、日付が変わったら前日分を出勤実績として更新する流れとしました。KOYOMIの「グループ週」表示または「グループ日」表示をしならが、シフトの登録・更新を行うような形です。
シフト管理アプリにおける工夫ポイント
操作のシンプル化
「誰が」「いつ」「何時から何時まで」という情報をパート・アルバイト全員のシフトを見ながら調整して作成する必要があるため、操作は極力シンプルになるようにしました。
まず、KOYOMIでは「カレンダー登録時に選択できる区分としては、次のように「予定」「出勤」「休み」「メモ」の4つ選択肢としました。
先々の予定シフトを登録する際は、区分に「予定」を選んで開始と終了の時間を入力する形でシフトを登録していきます。
※区分の選択肢の先頭を「予定」とすることで、上記の登録画面が表示された際はデフォルトが予定となるため、都度選択する必要が無くなります。
次に、毎日、前日分の実績情報としてデータの更新を行います。
登録済みの予定をクリックして編集ボタンを押すと次のようなダイアログが表示されますので、ここで区分を「予定」から「出勤(実績)」に変更し、確定ボタンをクリックします。
このように、は区分を「予定」でシフトを作成し、実績となったら区分を「出勤」とするだけのシンプルな操作となるようにしました。
また、区分によって色分け表示する設定もできるため、後で見返したときに過去分のデータが予定のまま(ここでは青色)になっていないかをカレンダー上の見た目でも判断することができ、更新漏れがある個所もわかりやすくなります。
<補足:区分としては他に用意した「休み」と「メモ」について>
急な休みが発生した場合、データを消すというのも1つの方法ですが、それだとシフトが当初予定されていたのかが後で分からなくなります。そこで、データを消さずに区分を「休み」にして更新することで、後から分かるようにしています。「メモ」は自由入力用として用意しています。
勤務時間・休憩時間の自動計算
IF関数を用いて、区分が「出勤」の場合には開始と終了時間を元に勤務時間を計算式で算出するようにしています。
合わせて、勤務時間の長さによって休憩時間も自動計算するような形としました。
- 5時間以上6時間未満:30分
- 6時間以上8時間未満:45分
- 8時間以上 :60分
この対応により、区分を「予定」から「実績」に変更した際に都度休憩時間を入れなくてもよい形とすることができました。
念のため、上記の自動計算で算出した休憩時間を調整するためのフィールドもアプリ内には用意しています。調整がある場合はKOYOMIの画面からではなく、レコード詳細画面から調整分を入力する形としています。
実績集計グラフの定義
勤務時間が各シフトデータで自動計算されているため、これをkintoneのグラフ機能を用いて月単位に集計することで、各パート・アルバイト毎の集計結果をいつでも取ることができるようになりました。
ただ1つ、KOYOMIではkintoneアカウントを持っていないユーザも管理することができますが、集計結果としては名前ではなくIDで表示されてしまいます。そのため、IDを見てもそれが誰なのかというのがぱっと見で分かりません。そこで、クロス集計表で定義したグラフをカスタマイズ形式の一覧で表示し、表の上部にコードと名前の対応表を付けるような対応を取っています。
今後について
運用的には過去分は区分を「出勤」に変えるということを行っていますが、変更漏れを考慮してリマインダー機能を定義しておくのもよいかもしれません。変更漏れは現状ありませんが、今後必要な場合はリマインダー機能も定義しておくことで、修正漏れの防止にもつなげることができると思います。
まとめ
このように、今回はKOYOMIというスケジュール管理プラグインを使うことでシフト管理を実現することができました。
アプリ作成当初はkintoneでIF文が対応されていなかったため、勤務時間や休憩時間の計算部分はカスタマイズ対応をしていました。その影響で実績としてデータ変更時にはレコード編集画面から登録を行うという運用の形とせざるを得ず、少し使いづらいアプリとなっていました。
しかし、2020年1月にIF文が実装されたことによりカスタマイズ部分を全て削除することができ、レコード編集画面からではなくKOYOMIの操作のみで完結させる形とすることができました。
kintoneの機能拡張は毎月行われているため、これまでカスタマイズしないとできなかった部分がkintone標準機能で実現できるようになり、ユーザ自身でできる範囲が少しずつ広がっています。kintoneの変更点と応用できそうな範囲の情報共有をしつつ、お客様にユーザ目線でどのような業務改善に貢献できるか、今後も考えていきたいと思います。