「残業を減らそう」「業務を効率化しよう」「生産性を上げよう」
このような声が会社の中で出ており、業務の見直しをして効率的にやっていこう・ノー残業で早く帰ろうと努力してはいるものの、なかなかうまくいかなかったり成果が出ずに困ってはいませんか?もしそうであれば、その理由は、一番はじめに手をつけるところから間違っているからかもしれません。
業務改善は一筋縄ではいかないものです。今回は、業務の見直しを行ううえでまずはじめに手を付けたほうがよい3つのポイントをご紹介します。これを読んで基本に立ち返ることで、今後の業務の見直しがスムーズになりますよ。
1.仕事の効率を上げて生産性を高めるための業務の見直し方
業務のやり方を見直す場合、まずはじめに次の3つのポイントに取り組んでみましょう。
- 目的を再確認する
- 業務を棚卸して業務の流れを整理する
- 優先度を付ける
見てとお分かりになるかと思いますが、1と3は業務の見直しに限らず、何をするにも無意識に行っていることではないでしょうか。2の部分が業務改善の肝になる部分です。
以下にて、1つひとつ説明をしていきます。
2.業務の見直しのための3つのポイント
2-1.背景と目的を明確にする
業務の見直しをするにあたりまず重要になるのが目的です。自分のみのタスクとして進める場合でも、会社内でチームとして進める場合でも同様です。「目的は何か?」と問われてすぐに答えられない場合、一度立ち止まって考えてみましょう。特にチーム(プロジェクト)としての体制を組んで取り進めるような場合、チームの大小に関わらずここが重要になってきます。
では、なぜ目的の明確化が重要になるのでしょうか?
それは、目的は忘れられやすいからです。推進する中では各タスクを実行することに注力するため、目的がどこかに飛んでしまう傾向がよくあります。目的に定期的に立ち返る意味でも、文書化(ドキュメント化)しておくとよいかと思います。また、背景と目的をセットにしておくことで、「そもそもなぜこれをやるのか」が分かりやすくなります。
また、目的を明確にした後は、目的と手段が逆にならないように注意する必要があります。目的は関わる人の立場によって変わらないものですが、関わる人や階層が多くなると意識統一が難しくなるケースもあります。
例えば、「経費削減(コストダウン)」という目的があるとします。会社内で関連する部署や人は多岐になることが想定されます。業務見直しの手段として「これまでExcelを使って運用して資料作成やデータ加工に時間がかかっていた部分に対してシステムを導入しよう」と決まった場合、いつの間にかシステムを入れれば経費削減(コストダウン)できると意識が変わってしまうことがあります。システムを入れること自体が目的になってしまい、システムを導入したら業務改善活動が完了、ということに陥りがちです。これでは目的が達成できません。どのようにシステムを使っていくのか、今の業務の流れをどう変えて、どうシステムを業務に組み込んでいくのか、システムで出力できる資料をどの業務で使うのか、というようなところまでをセットに考えていく必要がありますよね。
よって、背景+目的を明確にしておくことがまず重要な1つ目のポイントです。
プロジェクトの取りまとめ担当者は、この部分にズレが無いかを定期的に見直すとともに、業務見直し作業の推進上のタスクとしてあげたものに対して不足が無いかチェックすることも大切だと思います。
2-2.業務を棚卸しし、業務の流れを確認する
業務の棚卸
背景と目的が明確にした後にすぐ、「じゃあこの部分が取り組みやすそうだからやろうか」「ここに時間がかかっているから取り組むか」というのは得策ではありません。そこはぐっとこらえて、業務の棚卸をまず行ってみましょう。業務の棚卸は、業務改善をするうえでまずはじめにやる3つのポイント中でも一番重要です。
「自社の業務改善なのだから当然業務のことは把握している」
そのように思われている場合は特に要注意です。自分はその業務を知っているかもしれませんが、他の方は知らないかもしれませんし、認識が違う部分があるかもしれません。また、上司や他の部署の人は知らない部分も多いかと思います。人の頭の中は見れませんので、一度絵にする(図解する)ことをお勧めします。
業務棚卸しの方法としては色々なものがありますが、ツリー構造で大→小の順に考えていったり、付箋で業務を1つ1つ書き出していったりするのがいいかと思います。手書きでもいいですし、パワーポイントやエクセルやワードで作るのでもいいです。どれぐらい詳細まで細分化するかは、それを見て中身のやることが分かる単位まででよいかと思います。
- 大枠で業務を洗い出す(受注業務、発注業務、○○業務、・・・)
- 大枠を中枠に細分化する(受注メール確認、○○に転記、○○をチェック、○○を作成、○○に依頼、・・・)
- 中枠を細分化する(必要に応じて)
業務の棚卸をすることで、次のようなメリットがあります。
- 業務内容が把握できる(頭の中が整理される)
- メンバー間の業務自体の認識の統一がされる
- 問題点が整理されやすくなる
- 意外とたくさんある業務の量に気づく
- 他の部署の業務の流れで参考になりそうな部分が見つかる
業務の流れを作る(業務フローを作る)
業務の棚卸が終わったら、それを実際の業務の流れに並べ変えます。その際、次の点もあわせて書き込んでみましょう。
- 誰が(どの部署)がその業務を行っているか
- 時間軸はどうなっているか(その業務にどれぐらい時間がかかっているか、締め時間はあるのか)
- 業務間のつながりの上で渡している情報は何か?その手段は何か(メール/手渡し/口頭 など)?媒体は何か(印刷した紙/電子ファイル)?
- 情報(xxxファイル)の名前を全体で統一する(同じものを指していても名前が違うと、違うものと認識して進められてしまうため)
ここまで行うことで、現状の業務についての流れ、時間軸、関連部署、関連資料がパッと見えるようになります。
業務フローの例
業務棚卸と業務フローの作成については、普段の業務において自分・自部署・自社の仕事の流れを絵にするということをやられていない方も多いと思いますので、意外に多くの時間を要します。また、うまく絵が描けないということもあるかと思いますが、これを作ることで、今後の作業効率や業務見直しの効果に大きく影響してきます。まずは作ってみましょう。一度作れば色々な場面で重宝すること間違い無しです。
2-3.優先度を付ける
業務の棚卸と業務フローの作成まで終わったので、じゃあ着手しようかとなる前にもうひとつのポイントを行いましょう。優先度付けです。
「効果」と「難易度」の2軸で整理すると、効率的でかつ効果的な改善に着手できると思います。
業務改善効果が大きく かつ 難易度が低い(改善しやすい) ものから着手するのがよいです。
難易度 | |||
小 | 大 | ||
効果 | 小 | A | B |
大 | C | D |
3.さいごに
業務を見直すことは、自分や周り人の仕事のやり方を変えるということです。そしてこれらが組み合わさることで、会社としての生産性が高まることにも繋がります。業務の見直しを行っているけれどうまくいかないとお悩みの場合、一度このポイントを試して改善につなげてみてはいかがでしょうか。
別の記事にて、この続きを書く予定です。
- いきなり大きく変えようとしない
- 「減らす」からはじめる
- すぐにツールに頼らない
などなど