kintone(キントーン)は手軽に業務アプリを作成できるのがメリットですが、kintone標準機能では物足りない部分というのが帳票の出力です。標準機能では印刷機能を有しているものの、画面と同じレイアウトでしか印刷できませんので、kintoneを活用していく中でもっとリッチに帳票を作りたいというケースやまとめて印刷をしたいという要望が出てきても、標準機能では限界があります。そのような場合、カスタマイズによりフィールドの枠線を非表示にしたり項目自体を非表示にしたりということは比較的簡単に実現できますが、「リッチに」となるとカスタマイズによる対応ではかなりの費用・時間がかかることが見込まれます。
このような場合、kintoneの帳票系プラグインを利用することにより、個別カスタマイズに比べると費用を抑えて、早く、簡単に、自由度の高い帳票をkintoneから出力できるようになります。とはいえ、帳票系のプラグインは各社から色々なものが提供されているため、どれが自社の要件にマッチするのか、機能の比較検討するだけでも時間がかかります。
そこで今回は、kintoneの帳票系プラグインの中でメジャーである(と思っている)、プリントクリエイターとRepotoneUについて比較をしてみました。帳票プラグインの機能としてどのようなものが用意されているのかの本まとめを見ることで、帳票に求める要件がまとまっていない状態でも選定の参考になったり、帳票の運用方法としてのイメージを掴むことができます。
kintone帳票プラグイン比較の前提
本機能比較は、弊社でお客様に提案用にまとめた資料からの抜粋です。そのため、次の要件を満たす製品である点が前提となっています。
- 一括印刷ができる
- 画像ファイルを読み込める
- テーブルの内容を出力できる
- 1アプリから複数の帳票を出力できる
- 手ごろな利用料
kintone帳票系プラグインの候補としては、
- プリントクリエイター プレミアム版
- RepotoneU Pro
- OPROARTS Connector for kintone
- SFV Cloud for kintone
の4つがありましたが、上記要件を満たすものとして今回は「プリントクリエイター プレミアム版」と「RepotoneU Pro」を比較しています。
注意:2020年7月時点の機能で比較しています。
プリントクリエイターとは
トヨクモ株式会社(旧:サイボウズスタートアップス株式会社)が提供する帳票プラグインです。
プリントクリエイターは、kintoneアプリに登録されたデータを利用して、きれいに帳票印刷をするためのサービスです。
現在利用している帳票レイアウトをそのまま利用することができます。印刷したい帳票をPDFファイル形式で読み込み、kintoneアプリのデータをどの位置に表示するかを設定するだけ!
利用しているkintoneアプリのレコードの詳細画面から「帳票印刷」のボタンをクリックするだけで、出力時のイメージを確認することができるPDFファイルを作ることができます。
帳票印刷したいアプリの登録制限、帳票フォームの登録制限、帳票印刷の出力制限も一切ございません!
安心してご利用いただける、固定料金のサービスです。※プリントクリエイターのサイトより引用
プランとしてはライト、スタンダード、プレミアムの3種類がありますが、本まとめではプレミアムの機能を比較します。
詳細はこちらをご確認ください。
RepotoneU とは
株式会社ソウルウェアが提供する帳票プラグインです。
RepotoneU(レポトンU)シリーズはkintoneで管理している見積書、請求書、各種報告書など、あらゆるデータをPDFやExcel形式帳票に出力するソリューション。
クラウド連携型の「RepotoneU Pro」は一括出力や一覧出力にも対応。パワフルに業務を改善します。
プラグイン完結型の「RepotoneU PDF」「RepotoneU Excel」は簡単かつ安価に思い通りの帳票を作成できます。
※RepotoneUのサイトより引用
シリーズとしてはRepotoneU Excel、RepotoneU PDF、RepotoneU Proの3種類がありますが、本まとめではProの機能を比較します。
詳細はこちらをご確認ください。
kintone帳票プラグイン機能比較
プリントクリエイター(プレミアム)とRepotoneU Proを機能単位で比較しまとめたものがこちらです。各項目についての違いがある部分についての解説は後述しますが、どの機能が自社(または提案先)に必要か、この機能は考えてなかったが使えそうだ、というように、運用を意識した見方をするとさらにイメージが付きやすくなります。
プリントクリエイター プレミアム版 | RepotoneU Pro (レポトンU Pro) | |
ベンダー | トヨクモ株式会社 | 株式会社ソウルウェア |
URL | https://pc.kintoneapp.com/ | https://www.repotone.com/u/pro/ |
初期費用 | 0円 | 0円 |
月額料金 | 14,000円/月 | 15,000円/月 |
出力上限数 | 個別出力は無制限 一括出力は月10,000枚まで | 個別出力・一括出力あわせて月10,000枚まで |
利用できるアプリ数 | 無制限 | 無制限 |
利用できる帳票数 | 無制限 | 無制限 |
個別PDF出力 | ○ 可能 | ○ 可能 |
1アプリに複数の帳票レイアウトを登録できるか? | ○ 可能(1アプリの帳票数に制限なし) | ○ 可能(1アプリに30帳票まで) |
テーブル取込機能 | ○ あり | ○ あり |
一括出力 | ○ 可能 (一度の出力では、その帳票枚数とレコード数をかけ合わせた枚数が500以下である必要があり。出力された帳票は1つのpdfファイルでダウンロードが可能。) | ○ 可能 (一度の出力は一覧画面に表示できる件数=100件まで可能) 一括出力した場合、ZIPファイルでダウンロード(各ファイルはそれぞれのPDF) |
一括出力の上限追加 | 10,000枚単位で帳票枚数を追加することが可能。10,000枚につき、12,000円/月プラス。 | 10,000枚単位で帳票枚数を追加することが可能。10,000枚につき、10,000円/月プラス。 |
上限をオーバーした場合はどのようになる? | 出力できなくなる(メッセージが表示される) 営業時間内(平日10:00-18:00)の連絡で即時変更が可能 | 出力できなくなる(メッセージが表示される) 営業日の午前中の申込であれば同日中に対応可能 |
レイアウトが違う帳票を1ファイルとして出力できる? | ○ 可能 (1帳票1ページでの定義のためこの機能がある) | ○ 可能 (10ページまでの自由レイアウト帳票の出力が可能) |
一覧出力 | ○ あり (アプリ連携機能にて可能) | ○ あり (一度の出力で3000行分まで) |
複数ページ帳票 | ○ 1帳票1ページの帳票定義のため、複数枚帳票機能にて結合する必要あり テーブルの件数に合わせた動的に繰り返しは自動改ページプラグインで可能 | ○ 10ページまでの自由レイアウト帳票の出力が可能 テーブルの件数に合わせて自動的にページ繰り返しのある帳票を出力可能 |
Excel出力 | × なし | ○ あり |
設定の柔軟性 | ○ | △ |
帳票設定のファイルバックアップ | × なし | ○ あり |
関連サービスとの連携 | トヨクモが提供する他サービス(フォームブリッジ)と連携可能 | RepoTOVAS、krewSheet、クラウドサイン等と連携可能 |
初期費用・月額費用
初期費用は共に0円です。月額費用はプリントクリエイター(プレミアム)が14,000円/月、RepotoneU Proが15,000円/月とほぼ違いはありません。
1アプリに複数の帳票レイアウトを登録できるか?
これは、例えば「見積アプリ」というものがあった場合、見積書と請求書を同じアプリから出力できるか?という質問をしているのと同じイメージです。1アプリにつき1帳票のみ出力可能だと、同じデータを使ってレイアウトや一部の文字を変えた帳票の出力というのができませんので、この機能は帳票を利用する際に結構重要です。見積書と見積書(控え)を出したい、という場合など、利用されるケースはかなり多岐に渡ると想定されます。
ともに複数の帳票を1アプリに登録できますが、RepotoneU Proの場合は1アプリにつき30帳票までという制約があるようです。ただし、運用上は30も作れれば問題ないかと思います。
出力上限数
帳票系プラグインの多くは、帳票出力の上限数が決められています。ここでの件数はページ数とイコールです。例えば、1PDFが5ページ構成なら、このPDFを出力すると+5枚とカウントされます。
プリントクリエイター(プレミアム)の場合、個別PDF出力の場合は無制限、一括出力の場合は10,000件/月までです。
RepotoneU Proの場合、個別PDF出力と一括出力あわせて10,000件/月までです。
一括出力
アプリの各レコードの詳細画面を開いて1つ1つ帳票出力する(または印刷する)というのは通常の使い方として想定されますが、データ件数が多い場合、1つ1つ帳票出力するのは手間がかかります。この機能は、アプリのレコード一覧画面からまとめて印刷するような機能を有しているか、という質問と同じ意味合いです。共に一括出力の機能を有していますが、多少の違いがあります。
プリントクリエイター(プレミアム)の場合、1度の出力では「PDFファイルのページ数×レコード数<=500」である必要があります。例えば、PDFファイルが10ページで構成されているような場合、50レコード分をまとめて出力可能です。一括出力すると1つのPDFファイルにまとまって出力されます。
RepotoneU Proの場合、「一覧画面に表示できる件数=100件まで」をまとめて出力可能です。プリントクリエイターと違い、一括出力時はZIPファイルでダウンロードでき、ZIPの中身はレコード毎のPDFファイルとなっています。
出力上限数の追加、上限をオーバーした場合はどのようになる?
月内に出力上限まで行ってしまった場合にどうなるのかは、帳票を使う上で気になる部分です。
プリントクリエイター(プレミアム)の場合、10,000枚単位で帳票枚数を追加することが可能です(+10,000枚につき、12,000円/月プラス)。月内で上限に達してしまった場合はエラーメッセージが表示されますが、営業時間内(平日10:00-18:00)の連絡で即時上限の変更が可能です。
RepotoneU Proの場合も同様に、10,000枚単位で帳票枚数を追加することが可能です(+10,000枚につき、10,000円/月プラス)。こちらも月内で上限に達してしまった場合はエラーメッセージが表示されますが、営業日の午前中の申込であれば同日中に対応可能です。
レイアウトが違う帳票を1ファイルとして出力できるか
帳票は必ずしも1枚で納まるとは限りませんし、1PDFでもページによって表示内容がかわることも多々あります。このようなケースに対応できるのかというのが、この確認項目です。どちらのプラグインも対応しているようです。
一覧出力
レコード一覧を出力することができるのか、というのがこの確認項目です。共に可能ですが、プラグインを利用した際の帳票定義の方法には違いがあるようです。特にプリントクリエイターの場合、テーブルの内容を改ページして出力するような場合には自動改ページプラグインというものを別途利用することで実現が可能です。
Excel出力
PDF出力はどちらのプラグインも対応していますが、Excel出力はRepotoneU Proでのみ対応しているようです。
帳票設定の柔軟性
RepotoneU Proの場合、出力するフィールドは1つ1つ設定する形です。
一方プリントクリエイターの場合、複数のフィールドを結合して出力するような設定が可能です。また、アプリ連携の設定をすることで他アプリの情報も出力させる事が可能です。
まとめ
どちらのプラグインも機能としては似ていますが、数点違いがあるようです。自社の帳票の使い方によって選択されるのが良いかと思います。
また、今回比較したプラン以外にも用意されていますので、他プランも確認してみるのはいかがでしょうか。