こんにちは、kikuです。弊社は福島県本宮市を拠点として、福島市・郡山市・二本松市・本宮市・須賀川市・白河市など福島県内の地域の中小企業を対象に、IT(クラウドシステム等)による業務改善を支援しています。
さて、あなたの会社の仕事場では、机の上に大量の書類があふれかえっているでしょうか?それとも、必要な書類以外は無くスッキリとしているでしょうか?
小規模・中規模の会社の場合は社内のIT化が進んでいないことが多く、それに付随して書類は紙で保管する運用をされているところも多いです。これまで私が福島市、本宮市、郡山市などの中小企業にお邪魔した際にチェックしたのを振り返ってみても、大量のキングファイルが並んでいたり、机の上に色々なドキュメントが雑然と置いてあったりというところが多い印象があります。もちろん、お客様から何か書類を預かりそれを元に業務を行っているような業種の場合は書類ベースの仕事になるため仕方ありませんが、そうではないような企業の場合、紙書類の運用を見直すことは、仕事のやり方の改善に大いに繋がる可能性があります。
紙の削減は単に環境保護の観点だけではありません。普段の業務で忙しい中小企業が仕事の片手間でも始めやすいのが、紙を削減することによるペーパーレス化・電子化ではないかと思います。今回では、紙書類の削減に関して、その目的、メリット、手段、運用に求められる要素などを整理してみました。
紙書類の削減の目的
紙書類を削減することには、どんなメリットがあるでしょうか?なぜ紙書類を減らすことが業務改善に良いのでしょうか?一言で言うと「コスト削減」に繋がるからだと思います。では、紙保管に付随するコストにはどのようなものあるでしょうか。以下に挙げましたが、お金の面のほかに時間の面でコストがかかっている点を忘れてはいけません。
印刷コスト
印刷にはプリンタを使用するためプリンタ関連のコストと、人手がかかる部分の2つがあるでしょう。
- インク代
- プリンタを動かすための電気代
- プリンタ用紙代
- 場合によっては印刷1回あたりの印刷代
- 印刷するために用紙をセットする作業
- 用紙を補充する作業
- 用紙自体が足りなくなった場合の購入作業
- プリンタに印刷物を取りに行く作業
- 印刷した紙をまとめる(ホチキスやファイリング)作業
管理コスト
紙書類の管理には、保管・格納・廃棄のコストがあるかと思います。
- 保管場所の確保
- 社内に納まりきらない場合は外部倉庫に保管するコスト
- ファイリングするためのバインダー代、ファイルをしまうラックやキャビネット代
- ファイルの格納作業
- ファイルの破棄作業(古いファイルを捨てて場所を確保するための必要・不要の仕訳、シュレッダー、ゴミ捨て)
- ファイルの整理作業(探しやすいように並びを変える)
検索コスト
書類は後で使うから保管しますので、探す作業が必要です。探すという作業は、毎日行っていることですが、集計すると膨大な時間をこの「検索」にかけていることが発見できます。
- ラックやキャビネットから対象の書類を捜す作業(量が多かったり整理されていない場合は更に大変)
- 使ったら元の場所にしまう作業
移動コスト
紙でやり取りをしているような場合、社外から送るというのは中々困難です。
- 会社に戻るコスト(会社じゃないと書類を作れない)
紙のメリット
紙書類の保管・運用に関わるコストを挙げましたが、紙だからこそのメリットがあるのも忘れてはなりません。次のようなメリットが紙にはあると思います。
- 量が少ない場合はすぐに探すことが出来る
- ペラペラめくれる
- すぐに書き込める
- 多くの書類を並べて見れる
- 電子ファイル(Word/Excel/PDF等)より見やすい(PCに慣れていない方は特に)
普段紙を使っているからこそ気付かない部分ですが、電子ファイルと比較して考えてみると、こんなことが紙っていいよねという部分がもっと出てくるかと思います。
紙書類削減(ペーパーレス化)の段階的適用
ペーパーレス化の手段として考えられるのが、「紙の有効活用」および「電子化」です。電子化とは、紙文書を電子ファイル(ワード/エクセル/PDF等)に変えて保管するということをここでは指しています。今まで特に何も考えずにプリントアウトして保管している運用から急に電子化まで行くのは酷なため、段階的な取り組みを行っていくのが良いかと思います。
印刷時の設定を意識してコスト削減
良く行われる例としては「両面印刷」です。プリンタの設定にもよりますが、通常は片面印刷になっているため、両面印刷にすることで単純に半分にすることが可能です。
あわせて「白黒印刷を基本にする」というのもあります。カラー印刷はトナー代がその分かかりますし、印刷代もカラー印刷のほうがかかります。特にカラー印刷が不要な場合は白黒を基本にすることでコスト削減に繋げられます。
スキャンして電子ファイルとして保管
顧客から受け取った紙の資料など、元が紙書類で電子ファイルとして存在しないような場合、プリンタでスキャンしてPDFファイルとして保管します。原本の紙そのものの保管が必要な場合を除き、スキャン後は紙を廃棄します。こうすることで保管が電子ファイルになるため、場所が大幅に削減できます。また、「書類をWordで作った後に印刷して保管」というようなことを行っている場合、印刷自体が必要なのかを合わせて見直します。保管のために印刷しなくても、元々電子ファイルで存在するのであれば、それをそのまま正として保管するということです。
システムやパッケージやサービスの活用
電子ファイルとしての保管が進むと、ファイルを探す手間が気になります。その点を解消するのが、各種システムやクラウドサービス(kintoneなど)を利用するということです。システムの活用をすることで色々な保管方法がありますが、大きくは次の2種類が考えられます。
- システムに電子ファイルを格納する(ファイルサーバの代わりにシステムにファイルを保管する)
- システムにデータとして格納する(電子ファイルではなく、書類の内容を保管する)
システムを活用する一番のメリットは「見つける」だと思いますが、IT活用は保管に付随する作業の効率化も狙えます。例えば次のようなものではないでしょうか。
- 見つけやすい(ファイル名や文書の一部で検索)
- 変更できる(変更履歴が自動的に残る場合もあり)
- ワークフローが流せる(システムによるが、申請→承認→手配 などの承認プロセスを回せる機能がついているものもあり)
- 集計が出来る
- アクセス制限がかけられる
- データから所定フォーマットでファイルを作成できる(データで保持しておきボタンを押すとファイル生成するようなもの)
これらがほとんど出来るシステムとしては、kintoneを弊社は推奨しています。
社内で色々な申請(出張申請、休暇申請、旅費申請等)を紙で回しているような場合、色々な申請フォーマットが存在するかと思います。承認を回して書類に判子を押してもらうような運用をされているのが多いかと思いますが、そもそもフォーマットや判子が必要でしょうか。何が申請されてきちんと承認されたのかがわかればよいと思うので、ワークフローの機能が付いているシステムを選定するとより効率化を実現できます。
紙の削減に付随して運用に求められる要素
段階的に行えば紙書類を削減できそうですが、たとえシステムを入れたとしても運用面で徹底がされていないとうまくいきません。ルールの徹底と社員の意識変革を同時に行っていく必要があります。例としていくつか挙げてみます。
印刷しないことの徹底
まずは不要な印刷をやめることです。紙保管している場合、保管しない書類も確認のために印刷しているというところが多いです。これまで意識せずに印刷をつかっているような人にとって、印刷しないというのは効率に直結するため抵抗感が大きいのですが、慣れの部分が大きいため、少しずつ啓蒙していくことで意識の徹底がされていきます。月の印刷用紙代や社員毎に印刷したら件数を正の時で記入してもらうようにするなど、削減効果の評価が出来るようなことをしてみるのが良いかと思います。
印刷しないことに慣れる(電子ファイルを見る)
電子ファイルでデータがあるのにわざわざ印刷して確認するケースというのは、年齢層が高い人には良く見られます。言い分としては「印刷したほうがチェックがしやすい」です。私もこの意見には同意していたほうなのですが、これもやはり慣れの部分が大きいです。印刷して複数枚のデスクに並べて見れるのは紙書類の良いところですが、それをやめてPCで見るということを徹底をしましょう。PCの画面解像度が小さい場合はモニターを複数用意して表示領域を拡張させるのが効果的です。今現在モニター1つで仕事をしているような場合、モニターをもう1つ追加するだけで表示できる領域が増えますので、効率は大きく上がります。福島市のお客様でこれまでノートパソコン1台で仕事をされていた方に対して「モニターで画面の表示領域増やせますよ」とお伝えしたところ、画面の切替が減って大変喜ばれたことがありました。
ファイルやフォルダの命名ルールを決める
電子化した際にまず一番ネックになるのが、ファイルを探すということです。ファイルサーバなどに保管することによって社内の物理的な場所は増えないようにすることは出来ますが、ファイルサーバ内の論理的な場所にはどんどんデータが溜まっていきます。ファイルが多くなればなるほど探すのが大変になりますので、探しやすい工夫を凝らす必要があります。その1つがファイル名やフォルダ名への命名ルール決めです。
フォルダ名の場合、例えば次のようなことが良く行われます。
- フォルダの先頭に数字をつけて特定の順番に並ぶようにする。(例)01_XXXXX、02_AAAAAA、03_ZZZZZZ
- 大分類 → 中分類 → 小分類 のように、大から小になるようにフォルダを階層化する。
- 顧客名毎のフォルダを作るような場合、先頭にアルファベットで特定文字をつける。こうすることで、社名に漢字やアルファベット等の違いがあっても、あいうえお順に表示させるということが可能になる。(例)テスト株式会社の場合、「TST_テスト株式会社」のようにする。(TSTは、テ・ス・トをローマ字表記:TeSuToした場合の先頭文字からとったもの)
ファイル名の場合は、例えば次のようなことが良く行われます。
- 請求書の場合、「請求書_社名」のようにルールを決める
- ファイル名に「最新」という文字をつけない。
- ファイルをコピーしてバックアップをつける場合、「ファイル名_YYYYMMDD」のようにつける。ただし、最新ファイルには_YYYYMMDDはつけない。
システムで管理する場合も同様の考えが必要になりますので、電子化する際は自社で運用しやすいように名前に意識をしてみましょう。
まとめ
紙書類の削減は中小企業の業務改善にうってつけですが、ツール+ルール(運用面)の両方の面での推進が必要です。この点を意識してまず始めてみてはいかがでしょうか。